2年目コンサルタントの日記

都内で働く2年目コンサルタントです。日々の学び、調べたことを1日1回あげていきます。

「ファン化・応援化」とは:ビジネスにおける囲い込み

皆さん

こんにちは、こんばんは、初めまして

 

今日の学び:「ファン化と応援化の広がり」 となっております。

 

最近、仕事を通じて「ファン化」や「応援化」がさまざまな業界で進んでいることに気づきました。このトレンドは、エンターテインメント業界やスポーツ業界では昔から馴染みのあるものですが、最近ではさらに広範な業界へと波及しています。

 

その中でも特に興味深いのは、クレジットカード業界におけるファン化の動きです。 例えば、日本の三井住友カードは、アニメ「鬼滅の刃」や「ポケモン」とコラボしたデザインのクレジットカードを発行しています。これらのカードは単なる決済手段としての機能を超え、ファンが自分の「推し」を表現するためのアイテムとなっています。また、楽天カードではディズニーやスター・ウォーズとの提携により、ファン限定の特典やグッズを提供し、ファン層の心を掴んでいます。 こうした動きは、単なるデザインや特典の提供に留まりません。これらのクレジットカードは、ファンが自分の好きなものを身近に感じ、それを応援するためのツールとしての役割を果たしているのです。

(ちなみにNudgeカードというものが存在し、このビジネスモデルは面白いです。簡潔に言うとポイント還元せず、推しに寄付するカードで、デザインがめちゃめちゃファンにはたまらないカード!!)

 

では、なぜこのようにファン化・応援化が進んでいるのでしょうか?その背景には、現代の消費者が「個性」や「コミュニティ」を強く求めていることがあると思います。ソーシャルメディアの普及により、個人が自分の好きなものを自由に表現し、それを共有することが当たり前となりました。(いいことか悪いことかは置いておいて、ある種自分を犠牲とした特定の人・団体の応援というものも見られます。いいことで言えば自分の取り分を応援先に届ける。悪いところでは借金等でお金を貢ぐ...)

 

この「共感」や「共有」が、企業のマーケティング戦略にも大きな影響を与えています。

 

さらに、心理学的な観点から見ようと思うと、人々は自分の好きなものを応援することで自己肯定感を得たり、コミュニティに所属している安心感を感じたりすると考えられるのではないでしょうか。これは、単なる商品やサービスの消費を超えた、深いエンゲージメントを生む要因となっています。

企業はこうした消費者の心理を理解し、ファン化・応援化の動きを促進する商品やサービスを提供することで、ブランドロイヤルティを高めているのです。

 

ファン化や応援化のトレンドは、クレジットカード業界だけでなく、他の業界にも広がっています。

たとえば、音楽業界では、ファンがアーティストを直接支援するためのプラットフォームが登場しています。韓国のK-POPはその代表例であり、ファンが自分の好きなグループを支援するために、グッズ購入やイベント参加などさまざまな形で貢献しています。 アメリカのスポーツチームでも、ファンが自分たちのチームを応援するためのカードが人気です。これらのカードは、公式グッズの購入や試合観戦の際の特典を提供するだけでなく、ファンとチームを強く結びつけるためのツールとして機能しています。こうした事例を通じて、ファン化・応援化が国境を越えて広がっていることがわかります。

 

ここで少しユニークな視点を取り入れて、まだファン化・応援化が進んでいないけれど、今後その可能性がある業界について考えてみたいと思います。 一つ目の例として、ヘルスケア業界が挙げられます。

 

一般的に、ヘルスケアはクールで真面目なイメージが強く、ファン化とは縁遠いと思われがちです。しかし、近年の「セルフケア」や「ウェルビーイング」への関心の高まりを受け、ファン化が進む可能性があります。例えば、特定の健康食品やフィットネスブランドに熱狂的な支持者が現れることは既に見られますが、これをさらに発展させることができます。たとえば、お気に入りのフィットネスインストラクターや健康アプリと連携したクレジットカードが登場し、その利用額の一部がインストラクターの活動資金に充てられるような仕組みが生まれるかもしれません。

また、特定の病院や医療機関の「ファン」を育てることも考えられます。患者が感謝の気持ちを表すための寄付がクレジットカード利用と連動し、その寄付が病院の設備やスタッフへのサポートに使われるような仕組みを構築することで、病院との絆が深まる可能性があります。これにより、ヘルスケア業界においてもファン化・応援化の流れが加速するかもしれません。

 

もう一つの例は、公共交通機関です。公共交通機関は、日常的に利用されるため、特定の企業やサービスへのファン化が進みにくい領域ですが、このトレンドは変わりつつあります。例えば、鉄道会社が提供するクレジットカードに、その地域や路線に特化したデザインを施し、利用者がその地域への愛着を表現できるようにすることが考えられます。カード利用によるポイントが、地域振興や鉄道関連イベントへの参加特典として利用できるようにすることで、利用者との絆が深まる可能性が高まります。

さらに、バスやタクシー会社でも同様の動きが見られるかもしれません。地元のバス路線やタクシーサービスをテーマにしたクレジットカードを発行し、その利用額に応じて地元の交通インフラに還元される仕組みを作ることで、地域社会への貢献を促進し、ファン層を拡大することができるでしょう。

 

このファン化や応援化の流れは、ある意味で「ファンベースマーケティング」(Fanbase Marketing)の進化形とも言えます。日本でも人気のある著書『ファンベース』(著:佐藤尚之は、この流れを先取りしています。この本で語られるのは、「熱心なファンをいかにして生み出し、その声を最大限に活用するか」というマーケティングの新しいアプローチです。この考え方は、クレジットカード業界やヘルスケア、公共交通機関などの今後のマーケティング戦略に大いに参考になるでしょう。

 

ファン化・応援化のトレンドは一過性のものではなく、今後ますます多くの業界に広がりを見せると考えられます。特にクレジットカード業界では、これらのトレンドをうまく取り入れることで、新たなビジネスチャンスを生み出す可能性があります。また、ヘルスケアや公共交通機関といった新しい領域においても、ファン化・応援化の流れを取り入れることで、より強い顧客ロイヤルティを築くことができるかもしれません。これからも日々の学びを深め、新しい視点を持ちながら、成長していきたいと思います。